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千葉地方裁判所 昭和57年(行ウ)4号 判決 1984年4月17日

千葉県銚子市和田町二六四番地

原告

柏熊莞爾

同市栄町二丁目一番一号

被告

銚子税務署長

志田浩

右指定代理人

平賀俊明

鳴海悠祐

岩井明広

塚本晃康

山本高志

主文

一  原告の請求のうち、被告が昭和五五年三月六日原告の昭和五一年分の所得税についてした更正処分の所得金額一五〇万四、四二七円を超えない部分の取消しを求める請求部分を却下する。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告が昭和五五年三月六日付で原告に対してした昭和五一年分以降の所得税の青色申告書提出承認取消処分(以下、本件青色取消処分という。)並びに原告の昭和五一年分の所得税についてした更正(以下、本件更正処分という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下、本件賦課決定という。本件更正処分と本件賦課決定とを併せて本件課税処分といい、本件青色取消処分を含め、全処分をまとめて本件各処分という。)をいずれも取消す。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

二  被告

1  本案前の答弁

(一) 本件更正処分のうち、所得金額一五〇万四、四二七円を超えない部分の取消しを求める請求部分を却下する。

(二) 訴訟費用は、原告の負担とする。

2  本案の答弁

(一) 原告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は、原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告は、肩書地において、書籍・雑誌・文房具及びレコード等の小売業を営み、被告から青色申告書提出の承認(以下、青色申告の承認という)を受けたいわゆる青色申告者であるが、昭和五一年分の所得税について、別表(一)の順号1記載のとおり確定申告し、被告は同表の順号6のとおり、当初処分を取消したうえ、同表順号7のとおり、本件各処分をした。これに対し、原告は、同表の順号9のとおり異議申立をし、同表の順号10の棄却決定に対し同表の順号11のとおり東京国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、同所長は同表の順号12のとおり、棄却の裁決をした。

2  しかしながら、被告のした本件青色取消処分は、被告所部係官が原告の備付、保存している帳簿書類の調査をせず、その権限を放棄し、原告の取引先から収集した請求書控のみに基づいて原告の取引状態を推測して原告の昭和五一年分の所得額を推計したうえ、その推計に基づいて原告に対し修正申告書の提出をしようようし、原告がこれに応じなかったところ、現金出納帳、経費帳、仕入帳等の帳簿書類については原告から廃棄したといわれてその提示を受けられなかったとの虚偽の事実に基づきなされた違法なものであり、また本件更正処分も前叙のとおり、原告の備付、保存している帳簿書類の調査権限を放棄し、推計により原告の所得額を過大に認定した違法なものであって、また、本件更正処分を前提になされた本件賦課決定も違法である。

3  よって、本件各処分の取消しを求める。

二  被告の本案前の主張

原告は、本件更正処分についてその全部の取消しを求めているが、別表(一)の順号1のとおり、昭和五二年三月一五日、昭和五一年分の所得金額を一五〇万四四二七円として確定申告し、原告の同年分の所得金額は右確定申告額の範囲内で確定しているのであるから、本件更正処分の取消しを求める請求は、右の確定申告額の範囲内でその利益がなく、却下されるべきものである。

三  被告の本案前の主張に対する原告の答弁

被告所部係官は、原告の備付、保存している帳簿書類の調査をせず、その権限を放棄し、推計により原告の所得額を過大に認定した本件更正処分は、手続面で違法であり、従って、本件更正処分の全部の取消しを求める法律上の利益がある。

四  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の事実のうち、被告所部係官が、原告の昭和五一年分の所得額を推計し、その推計に基づいて原告に対し、修正申告書の提出をしようようとしたことは認めるが、その余の事実は争う。

五  被告の本案の主張

1  本件各処分に至った事情

(一) 被告所部の高岡利之事務官(以下、高岡事務官という。)が原告の昭和四九ないし五一年分の課税所得金額の調査を行うに当たり、昭和五二年七月二〇日から昭和五三年二月一四日までの間、七回にわたり原告宅に臨場し、右各年分の青色申告に係る帳簿書類の提示を求めたところ、原告は、帳簿を友人の村松に預けてあるとか村松が不在だったとしてその居住アパートの所在地を明らかにしただけで、青色申告書提出承認申請書に備付帳簿として記載していた現金出納帳、売上帳、仕入帳及び経費帳を一切提示せず、仕入先に照会する方法により取引金額を調べてほしいとか申立てるだけだったため、高岡事務官は、原告から右帳簿書類の提示を受けられる見込みがなく、原告の申告所得金額の適否を右帳簿書類によって検討するのは不可能で、推計計算によらざるを得ないものと判断し、原告から聴取した仕入先に原告との取引金額を照会し、その回答に基づき原告の昭和四九ないし五一年分の所得金額を推計により算出したところ、原告の各年分の申告所得金額が過少であると認められたので、同年九月九日及び翌一〇日、原告に対し、その事情を説明して修正申告書を提出するようしようようしたが、原告は、これに応ぜず、関口和男税理士(以下関口税理士という。)を立てて新たな所得金額を計算した損益計算書を提出したので、高岡事務官の方でその計算の基礎となる関係書類及び貸借対照表の提出を要請したが、何んの応答もなく、前記の推計計算による所得金額の内容を再検討しても不合理な点がなかったので、その旨関口税理士を介して原告に伝え、昭和五三年一月二四日、更に同年二月七日、原告に対し、修正申告書の提出をしようようしたが、原告は、これを拒否したものであって、このように被告所部の係官の再三にわたる要請にもかかわらず、原告が青色申告に係る帳簿書類を一切提示せず、また、被告の推計計算に基づく修正申告書の提出のしようようにも応じなかったところから、被告において別表(一)の順号2のとおり青色申告の承認の取消処分並びに右各年分の所得税の更正処分及び重加算税・過少申告加算税の賦課決定の当初処分を行った。

(二) 原告は、当初処分に対し、別表(一)の順号3のとおり、異議を申立て、その調査、審理を担当した被告所部の赤坂隆国税調査官(以下赤坂調査官という。)が、昭和五三年六月三〇日、原告宅に臨場し、異議申立ての理由及び原告の主張する算出所得金額について説明を求めたところ、原告は、前記調査各年分についての帳簿書類を保存していないことを認めるとともに昭和五〇年及び五一年分の所得金額については容認できるが、昭和四九年分については納得できないと申し立てたが、その異議申立の根拠となる資料等を何ら提示しなかったため、被告は、原告の青色申告に係る帳簿書類を確認できず、また、右各年分の所得金額を実額で計算することはできないと判断し、その調査結果に基づき当初処分の一部を取り消し、その余の部分の異議申し立てを棄却する旨の別表(一)の順号4の決定をした。

(三) その後、被告が、前記決定で維持された当初処分における青色申告の承認の取消処分の内容を検討したところ、右取消処分通知書に付記された取消理由に不備があったので、別表(一)の順号6のとおり、昭和五五年三月六日、右当初処分を全部取消し、改めて本件各処分をした。

(四) 更に、原告は、本件各処分に対し、別表(一)の順号9のとおり異議を申立て、その調査、審理を担当した被告所部の小野寺宏晴上席国税調査官(以下、小野寺調査官という。)が昭和五五年五月一二日、原告宅に臨場し、原告に対し、昭和五一年分の所得税の青色申告に係る帳簿書類の提示を求めたところ、原告の方で右帳簿書類を保存していない旨申立て、仕入取引に係る原始記録の一部である納品書及び請求書のみを提示し、その後の数回に及んだ調査でも右帳簿書類の提示をしなかったため、小野寺調査官は、提示された右の原始記録を検討するとともに当初処分における仕入金額の内容を再検討して原告の昭和五一年分の仕入金額を算出し、もって同年分の売上金額を推計し、必要経費についても実額で計算することができなかったため推計計算し、その調査結果に基づき本件青色取消処分には何ら瑕疵はなく、原告の昭和五一年分の所得金額は、本件更正処分の課税分の所得金額を下回らないことが判明したので、被告は、昭和五五年七月八日別表(一)の順号10のとおり本件各処分の原告の異議申立をいずれも棄却する旨の決定をした。

2  本件青色取消処分の適法性

被告の本件青色取消処分は、前記のとおり、原告が所得税の青色申告書提出承認申請書に備付帳簿として記載していた現金出納帳、売上帳、仕入帳及び経費帳を一切提示しなかったことは、とりもなおさず、青色申告に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が所得税法一四八条一項に定めるところに従って行われていないこととなり、同法一五〇条一項一号に定める青色申告承認の取消事由に該当し、被告は右取消しの基因となった事実等を付記して本件青色取消処分をなしたものであるから、本件青色取消処分は適法である。

3  本件課税処分の適法性

原告の昭和五一年分の所得金額は、七八四万一、二四五円であり、その範囲内でなされた本件更正処分及びこれを前提とする本件賦課決定には何ら違法な点はない。

(一) 被告が認定した原告の昭和五一年分の所得金額七八四万一、二四五円は、推計計算により算出したものであるが、原告は、前記のとおり、被告所部係官の再三にわたる要請にもかかわらず事業所得を生ずべき業務に係る帳簿書類を一切提示せず、領収書等の原始記録の保存も極めて不完全であったため、原告の昭和五一年分の所得金額を実額で算出することは不可能で被告は、推計計算により右の所得金額を算出せざるを得なかったものである。

(二) そして、被告の認定した原告の昭和五一年分の所得金額の内容は、別表(四)記載のとおりであり、その各項目金額の算出根拠は、次のとおりである。

(1) 総収入金額 六、一五四万三、九二三円

次のイ及びロの合計金額

イ レコード等小売業の総収入金額 一、三三七万一、三七〇円

後記(2)のイのレコード等小売業の雑収入金額二一万七、四八四円及び後記(3)のイのレコード等小売業の売上金額 一、三一五万三、八八六円の合計。

ロ 書籍雑誌小売業の総収入金額 四、八一七万二、五五三円

後記(2)のロの書籍雑誌小売業の雑収入金額四六万一、一三一円及び後記(3)のロの書籍雑誌小売業の売上金額 四、七七一万一、四二二円の合計。

(2) 雑収入合計 六七万八、六一五円

次のイ及びロの合計金額

イ レコード等小売業の雑収入金額 二一万七、四八四円

内訳は別表(五)記載のとおり。

ロ 書籍雑誌小売業の雑収入金額 四六万一、一三一円

原告が昭和五一年中に日本雑誌販売株式会社から受けた割戻歩引等の合計金額。

(3) 売上金額 六、〇八六万五、三〇八円

次のイ及びロの合計金額。

イ レコード等の売上金額 一、三一五万三、八八六円

後記(4)のイのレコード等の売上原価一、〇〇三万二、四六九円を基にして、原告の住所地を所轄する銚子税務署並びに近隣の佐原税務署、東金税務署及び茂原税務署(以下、近隣三署という。)の各管内の同業者(以下、「レコード等小売比準同業者」という。)の平均原価率(売上金額に対する売上原価の額の割合)七六・二七パーセントを適用して、次のとおり、推計した金額

(算式)

(売上原価) (原価率) (売上金額)

1,003万2,469円 76.27%=1,315,万3,886円

ロ 書籍雑誌の売上金額 四、七七一万一、四二二円

後記(4)のロの書籍雑誌の売上原価三、八四一万二、四六六円を基にして、銚子税務署及び近隣三署各管内の同業者(以下「書籍雑誌小売比準同業者」という。)の平均原価率八〇・五一パーセントを適用して、次のとおり推計した金額。

(算式)

(売上原価) (原価率) (売上金額)

3,841万2,466円 80.51%=4,771万1,422万

(4) 売上原価 四、八四四万四、九三五円

被告が原告の仕入取引先を調査して把握した原告の昭和五一年中における仕入金額の合計額(次のイ及びロの合計金額)。

なお、商品のたな卸金額については、当初処分及び異議申立てに係る調査時に原告からその資料の提示がなかったこと及び原告の事業の態様が本件係争年分の前後と比校して格別変化があったとは認められないことから、昭和五一年の年初・年末における商品のたな卸金額を同額と認定し、仕入金額をもって売上原価の額としたものである。

イ レコード等の売上原価 一、〇〇三万二、四六九円

内訳は別表(六)記載のとおり。

ロ 書籍雑誌の売上原価 三、八四一万二、四六六円

内訳は別表(七)記載のとおり。

(5) 一般経費 三八四万六、九七一円

次のイ及びロの合計額。

イ レコード等小売業の一般経費 一一七万九、九〇三円

前記(3)のイのレコード等の売上金額一、三一五万三、八八六円に別表(二)記載のレコード等小売比準同業者の平均一般経費率八・九七パーセントを乗じて推計。

ロ 書籍雑誌小売業の一般経費 二六六万七、〇六八円

前記(3)のロの書籍雑誌の売上金額四、七七一万一、四二二円に別表(三)の書籍雑誌小売比準同業者の平均一般経費率五・五九パーセントを乗じて推計。

(6) 特別経費 二一万〇、七七二円

原告宅のうち店舗部分に係る、昭和五一年分の減価償却費の額で、次のとおり計算した金額。

(算式)

(取得価額) (残存価額)(減価償却率)(店舗部分割合)

<省略>

(7) 事業専従者控除額 一二〇万円

原告の妻静子、長女文子及び三女美代子は、いずれも原告と生計を一にし、かつ、原告の営む事業に専ら従事している事実が認められ、所得税法五七条三項に定める事業専従者に該当するので、一人当り四〇万円、三名合計金額一二〇万円を事業専従者控除額として必要経費とみなされる金額。

(8) 必要経費合計 五、三七〇万二、六七八円

前記(4)ないし(7)の各金額の合計額。

(9) 事業所得の金額 七八四万一、二四五円

前記(1)の総収入金額六、一五四万三、九二三円から同(8)の必要経費合計五、三七〇万二、六七八円を控除した金額。

(三) 被告が原告の昭和五一年分の売上金額及び一般経費金額を算出するために採用した推計方法は、被告が原告の仕入取引先を調査した結果に基づく売上原価の金額を基礎に、比準同業者の平均原価率及び平均一般経費率を適用して算出したもので、その比準同業者の抽出は、原告の住所地を所轄する銚子税務署及び近隣三署の各管内に事業所を有する者であって、原告と同種の事業(原告は、レコード等小売業と書籍雑誌小売業の二業種を併せて営んでいるので、その二業種とも同種の事業とした。)を営む個人業者で イ、昭和五一年分所得税について青色申告の承認を受けている者、 ロ、同種の事業について昭和五一年分の売上原価が原告のそれの半分以上二倍以下(以下倍半基準という。)の範囲内である者、 ハ、昭和五一年中前記同種の事業を継続している者、 二、災害等により経営状態が異常であると認められる者でなく、また、税務署長から更正又は決定処分がなされ、国税通則法又は行政事件訴訟法の規定による不服申立期間及び出訴期間の経過していない者並びに当該処分に対して不服申立てを行い、現在審理中の者又は訴訟係属中の者ではないことを条件とし、これにより抽出し得た比準同業者数は、レコード等小売業が四件、書籍雑誌小売業が六件で、この比準同業者に係る事業所得の収支計算資料から求められたレコード等及び書籍雑誌に関する原価率及び一般経費率は別表(二)及び(三)のとおりであって、これらの平均値を用いて原告の売上金額及び一般経費金額を算出したものであるから、比準同業者の抽出に被告の 意が介在する余地はなく、抽出比準同業者もその業種、事業場所、事業規模、事業形態の点で原告と類似し、しかもその申告の正確性について裏付けを有する青色申告者であるから、その比準同業者の平均原価率及び平均一般経費率については正確性と普遍性が担保されており、これによる推計には合理性がある。

六  被告の本案の主張に対する認否と原告の反論

1  被告の本案の主張に対する認否

(一) 1の(一)の事実のうち、高岡事務官が昭和五一年分の原告の所得額を推計により算出したこと、原告に対し、修正申告書の提出をしようようしたこと、原告が関口税理士に依頼したこと、被告が当初処分を行ったことは認める。原告が高岡事務間に対し、村松が不在だったとしてその居住アパートの所在地を明らかにしたこと、仕入先に照会する方法により取引金額を調べてほしいと申立てたこと、原告が関口税理士を立てて、新たな所得金額を計算した損益計算書を提出したので、高岡事務官の方でその計算の基礎となる関係書類及び貸借対照表の提出を要請したが、何んの応答もなく、前記の推計計算による所得金額の内容を再検討しても不合理な点がなかったので、その旨関口税理士を介して原告に伝えたことは、いずれも不知。その余の事実は、否認する。

もっとも、原告が高岡事務官から昭和五一年分の帳簿書類の提示を求められた際、右帳簿を友人の村松に預けてあるといったことはあるが、それは、昭和五二年七月二二日高岡事務官が原告宅に臨場したときのことである。高岡事務官は、昭和五三年一月二四日及び同年二月七日にも原告宅に臨場したことはある。

(二) 1の(二)の事実のうち、原告が当初処分に対し別表(一)の順号3のとおり異議を申立て、赤坂調査官がその調査審理を担当したことは不知。その余の事実は、否認する。

(三) 1の(三)の事実のうち、被告が別表(一)の順号6のとおり、昭和五五年三月六日当初処分を全部取消し、改めて本件各処分をしたことは認めるが、その余の事実は否 する。

(四) 1の(四)の事実のうち、原告が本件各処分に対し、別表(一)の順号9のとおり、異議を申立て、小野寺調査官がその調査、審理を担当したこと、被告が昭和五五年七月八日、同表の順号10のとおり原告の右異議申立をいずれも棄却する旨の決定をしたことは認めるが、その余の事実は否認する。

(五) 2の事実は争う。

(六) 3の冒頭の事実は争う。同(一)、(三)の事実のうち、被告が原告の昭和五一年分の所得金額を推計計算により算出したこと、同(三)の事実のうち、被告が原告の仕入取引先を調査したことは認めるが、同(一)のその余の事実及び同(二)の事実は否認する。同(三)のその余の事実は不知。

2  原告の反論

(一) 高岡事務官が、所得税の調査のため原告宅に臨場した際、原告の方で昭和五一年分の帳簿書類を預けてある経理担当の友人が不在で帳簿書類を取り寄せることができなかったところ、高岡事務官は、「五一年の帳簿はもう必要ない。独自に調べるから取り寄せなくともよい。」といって、原告の提示した昭和五一年分の仕入関係書類等も調査せず、取引先だけを記録して帰り、それをもとに調査して原告の所得を推計したが、原告から誤りを指摘されて、その推計に誤謬のあることを認め、推計を訂正することを確約したが、結局は、原告に対し、誤った右の推計に基づき修正申告書の提出をしようようし、右の修正申告書が不正確だったところから提出しなかった原告の所為を捕えて被告は、一方的に当初処分及び本件各処分をしたものである。

(二) また、本件処分に対する原告の異議申立に係る調査審理を担当した小野寺調査官も原告宅に臨場し、原告が昭和五一年分の帳簿書類を備付、保存しているのを確認しているのである。

(三) しかるに、被告は、事実を偽り、原告が右の帳簿書類を備付、保存していないとして誤った推計により原告の所得を算出してなした本件各処分は、違法であって取り消しを免れない。

(四) そして、原告の昭和五一年分の実際の所得金額は、別表(八)のとおりであり、その各項目金額の内訳は、次のとおりである。

(1) 総収入金額 五、八八二万九、〇七九円

次の(2)、(3)の合計金額。

(2) 売上金額 八二六万八、四一〇円

一月分 五七〇万円

二月分 四五五万円

三月分 五五〇万円

四月分 五二〇万円

五月分 四八〇万円

六月分 四五〇万円

七月分 四三〇万円

八月分 五三〇万円

九月分 四五〇万円

一〇月分 四二五万円

一一月分 四六〇万円

一二月分 五〇六万八、四一〇円

の合計

(3) 雑収入金額 五六万〇、六六九円

日本雑誌販売株式会社の戻り金

四六万一、一二四円

徳間音楽工業レコード株式会社の戻り金

一万七、〇二〇円

キングレコード株式会社の戻り金

二万七、三三八円

CBSソニーレコード株式会社の戻り金

二、一一二円

ビクター音楽産業株式会社の戻り金

三万五、一五五円

ポリドールレコード株式会社の戻り金

一万七、九二〇円

の合計

(4) 仕入金額 四、八七七万九、九七一円

日本雑誌販売株式会社 三、六六九万四、三〇五円

千葉パイロット 三三万三、一六五円

東京工作教材社 三七万八、〇六一円

修勝堂 一二九万円

徳間音楽工業レコード株式会社 四五万四、〇九九円

クラウンレコード株式会社 四七万六、八一〇円

パイオニアレコード株式会社 四四万一、一七〇円

キングレコード株式会社 九八万五、四二二円

CBSソニーレコード株式会社 七七万一、五六五円

テイチクレコード株式会社 九七万三、一五〇円

日本コロンビアレコード株式会社 一七六万一、〇七二円

関東ポニーレコード株式会社 七二万〇、三四〇円

東芝レコード株式会社 六四万三、五六七円

ビクター音楽産業株式会社 二〇二万七、九九五円

ポリドールレコード株式会社 五〇万六、九六〇円

日本フォノグラムレコード株式会社 三二万二、二九〇円

の合計。

(5) 売上原価 四、八五五万七、〇一〇円

前記の(1)と次の(6)との差額金額。

(6) 差益金額 一、〇二七万二、〇六九円

次の(イ)、(ロ)及び前記(3)の合計額

(イ) 書籍雑誌類の利益 五八二万六、八四〇円

書籍雑誌類の売上金額五、八二六万八、四一〇円の三分の二の一五パーセント。

(ロ) レコード類の利益 三八八万四、五六〇円

レコード類の売上金額五、八二六万八、四一〇円の三分の一の二〇パーセント。

(7) 必要経費 八三〇万四、九〇六円

運賃 一〇四万〇、三五二円

公租公課 一九万六、九八〇円

光熱費 二三万二、九五八円

旅費 二四万円

通信費 二一万三、五〇六円

広告費 一万二、一〇〇円

接待費 三〇万九、五〇〇円

損害保険料 一万一、四〇〇円

修繕費 一三万七、二〇〇円

消耗品費 二一一万〇、一四四円

減価償却費 四七万〇、三五六円

福利費 三五万一、〇〇〇円

給料 一八〇万円

貸倒金 四万五、二〇〇円

雑費 三一万四、二一〇円

専従者給与 七二万円

青色申告控除 一〇万円

の合計。

(8) 所得金額 一九六万七、一六三円

前記(1)から(5)と(7)を差引いた金額。

第三証拠

一  原告

1  甲第一ないし第六号証

2  乙第一一、第一三号証の成立はいずれも認める。その余の乙号各証の成立はいずれも不知。

二  被告

1  乙第一号証の一ないし一二、第二ないし第六号証の各一ないし四、第七ないし第一三号証

2  証人高岡利之、同小野寺宏晴、同山本高志

3  甲第六号証のうち書込み部分の成立は不知。その余の作成部分の成立は認める。その余の甲号各証の成立はいずれも認める。

理由

第一本件各処分及びその後の経緯等について

請求原因1(本件各処分及びその後の経緯等について)の事実は、当事者間に争いがない。

第二本件各処分に至る経緯について

そこで、まず、本件各処分に至る事実関係について検討する。

一  成立に争いのない甲第一ないし第六号証(但し、甲第六号証の書込み部分は除く。)、乙第一一号証、第一三号証、証人高岡利之、同小野寺宏晴の各証言及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

1  原告の昭和四九年から昭和五一年分までの所得税の調査を担当することとなった被告所部の高岡事務官が昭和五二年七月二〇日、原告宅に臨場し、所得税の調査を行う旨来意を告げ、昭和五一年分の青色申告に係る帳簿書類の提示を求めたところ、原告は、友人の村松に預けてあって手許にないとして、これを提示しなかったので、高岡事務官は、右帳簿書類を取り寄せるよう原告に依頼し、次いで、同月二二日原告宅に臨場したが、原告の方で村松と連絡がとれなかったとして、この日も右の帳簿書類を提示しなかったため昭和五二年分の売上帳、預金帳、仕入れの納品書や請求書等を調査するとともに原告の仕入先を把握したりしたに過ぎず、同年八月五日の臨場においても、原告は、村松と連絡がとれないとして前記の帳簿書類を提示せず、高岡事務官は、原告からこれまでの臨場で把握できなかった仕入先や売買差益率を調査しただけに終り、更に、同年九月五日及び六日の両日にも原告宅に臨場したが、昭和五一年分の帳簿書類の提示はなく、右帳簿書類の預け先という村松の住所を原告から聞き出して調査したものの、原告のいった場所には、村松は居住していず、原告の昭和五一年分の所得金額を青色申告に係る帳簿書類に基づき検討することはできないと判断し、上司である訴外牧田統括官に報告し、同統括官から推計計算により原告の所得額を検討するよう指示を受け、原告の仕入先等から得た原告との取引額等についての回答等により原告の昭和四九年ないし五一年分の所得金額を推計したところ、原告の右各年分の申告所得金額は推計額より極端に過少であることが判明し、その結果に基づき、原告に対し、修正申告書を提出するようしようようしたが、原告は、推計計算された調査額ほどに所得金額はないとしてこれに応じなかったため、高岡事務官は、原告に推計計算の根拠等を説明し、税理士に依頼して検討するよう促したところ、原告の依頼を受けた関口税理士から調査額よりかなり低い所得金額を算定した原告の事業の収支計算書が提出されたが、その計算根拠が明確ではなく、収支計算方法及び財産増減法による所得金額とも異っていたのでその旨関口税理士に伝え、同税理士の方で原告に尋ねてみるといったが、そのうち、同税理士が関与しなくなったため、昭和五三年一月二四日、再び原告に対し、修正申告書の提出をしようようしたところ、原告の方では前と同様に応ぜず、調査額には万引されたりした商品の欠損分を控除していない旨申し立てたので、その当否を検討し、その結果に従って調査額を減額したうえ、同年二月七日原告に対し、調査額を減額したことを説明し、その減額調査額による修正申告書の提出をしようようしたが、原告は、これについても所得金額はそれ程ないとして、右しようように応ぜず、高岡事務官の調査中、青色申告にかかる帳簿書類は一切提示されなかった。(高岡事務官が昭和五一年分の原告の所得額を推計により算出したこと、原告に対し、修正申告書の提出をしようようしたこと、原告が関口税理士に依頼したことは、当事者間に争いがない。)

2  そのため、被告は、昭和五三年二月二八日、昭和四九年分以降の青色申告承認の取消処分をするとともに昭和四九年から昭和五一年分までの更正処分等(昭和五一年分の更正処分等は別表(一)の順号2のとおり)をし、これに対し、原告の方で別表(一)の順号3のとおり昭和四九年以降の青色申告承認の取消処分及び昭和五一年分の更正処分等の当初処分に対し、異議申立をし、同表(一)の順号4、5の決定、審査請求を経て、昭和五五年三月六日、前記の昭和四九年以降の青色申告承認の取消処分の通知書に記載した理由に不備があったことから、昭和五五年三月六日、別表(一)の順号6のとおり、当初処分を全部取消し、改めて同日本件各処分をした。(被告が昭和五五年三月六日、別表(一)の順号6のとおり、当初処分を全部取消し、改めて本件各処分をしたことは当事者間に争いがない。)

3  これに対し、原告は、昭和五五年四月一五日、本件青色取消処分については、原告が青色申告に係る帳簿書類を提示しなかったという虚偽の理由で取消処分をしたのは不当であり、また、本件課税処分については、当初処分の調査担当者が帳簿書類を検討せずにしたとして別表(一)の順号9のとおり異議を申立て、その調査審理を担当した被告所部の小野寺調査官は、昭和五五年の四月下旬から七月上旬まで原告宅に臨場する等して調査し、原告に対して昭和五一年分の帳簿書類の提示を求めたが、原告は、子供が死亡したときその持物を焼却したが、その際、右の帳簿書類も一緒に焼却してしまったとして提示せず、仕入に関する請求書と計算書、更には必要経費の関係で日本雑誌販売株式会社の運賃の領収書を提示したものの、提示された請求書や計算書も全部揃ったものではなく、結局、実額算定はできず、原告の所得金額を推計計算により算定したところ、本件課税処分は、相当であり、本件青色取消処分も帳簿書類の提示がなかったところから妥当であると考えた被告は、昭和五五年七月八日、別表(一)の順号10のとおり、原告の異議申立を棄却した(原告が本件各処分に対し、別表(一)の順号9のとおり、異議を申立て、小野寺調査官がその調査、審理を担当したこと、被告が昭和五五年七月八日、同表の順号10のとおり原告の右異議申立を棄却する旨の決定をしたことは当事者間に争いがない。)。

4  そして、昭和五五年七月一八日原告から別表(一)の順号11のとおり審査請求がなされ、昭和五六年一二月一日、同表(一)の順号12のとおり、右請求を棄却する旨の決定をした。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

二  原告は、昭和五一年分の帳簿書類を預けてある経理担当の友人が不在で帳簿書類を取り寄せることができなかったところ、高岡事務官は「五一年の帳簿はもう必要ない。独自に調べるから取り寄せなくともよい。」といって、原告の提示した昭和五一年分の仕入関係書類等も調査せず、取引先だけを記録して帰り、それをもとに調査して原告の所得を推計したが、原告から誤りを指摘されてその推計に誤謬のあることを認め、推計を訂正することを確約し、また、当初処分に対する原告の異議申立に係る調査、審理を相当した小野寺調査官も原告宅に臨場し、原告が昭和五一年分の帳簿書類を備付、保存していることを確認している旨主張するが、原告の右主張を認める証拠はない。

第三本件各処分の適法性について

一  青色取消処分について

前記認定事実によれば、原告は、昭和五一年分の原告の所得金額の調査に当った被告所部の係官の再三にわたる昭和五一年分の青色申告に係る帳簿書類の提示要求にもかかわらず、友人に預けてあるとか、焼却してしまったとかいって提示しなかったというのであって、所得税法第一五〇条第一項第一号に規定する青色申告承認の取消事由の当該年分の帳簿書類の備付け、記録又は保存が所定の定めに従って行われていないという場合の「備付け」等とは、青色申告制度の趣旨に鑑みると、税務職員の提示要求に応じて提示することを前提としたものと解されるところであって、前記のとおり、原告が被告所部の係官に、昭和五一年分の帳簿書類を提示しなかったことは、特別の事情がない限り、前記同法条に規定する帳簿書類の備付け等がないことに該当すると解するを相当とし、他に格別の事情の認められない本件においては、昭和五一年分の帳簿書類の提示のなかったことを理由になされた本件青色取消処分は、正当であって、適法であるというべきである。

二  本件更正処分について

1  (本案前の被告の主張について)原告が別表(一)の順号1のとおり昭和五一年分の所得金額一五〇万四、四二七円として確定申告をしたこと及び本件更正処分がなされたことは、当事者間に争いがないところ、右の確定申告と本件更正処分とは、それぞれ別個独立の行為として併存し、本件更正処分の効力は、該処分によって増加した所得金額に関して生ずるに過ぎないものであるから、本件更正処分につき右の確定申告額の範囲内の部分まで取消しを求める原告の本訴請求は、その部分については不適法であって却下を免れないところである。

2  本件更正処分における原告の所得金額は、推計計算により算出したものであることは、当事者間に争いがないところであるが、前記認定のとおり、原告は、被告所部の係官に対し、昭和五一年分の帳簿書類を一切提示しなかったというのであるから、被告が原告の同年分の所得金額を実額で算出することは不可能というべきであり、その所得金額の算出は推計によらざるを得ず、被告が、原告の取引先等からの回答等によって掌握した原告の昭和五一年分の取引金額等を基礎として同年分の原告の所得金額を推計算定したことには何ら違法な点はないというべきである。

3  証人山本高志の証言から成立の認められる乙第一号証の一ないし一二、第二ないし第六号証の各一ないし四、第七ないし第一〇号証、証人山本高志の証言及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

(一) 被告が、その調査結果に基づく原告の取引先等に対する照会により把握した原告の昭和五一年度分の売上原価は、別表(六)、(七)の合計金額四、八四四万四、九三五円となること。

(二) 被告となった推計方法は、原告の住所地を所轄する銚子税務署及び佐原、茂原、東金の近隣三署の各管内の事業規模、業態、売上金額等が原告と類似する比準同業者を、抽出し、その売上金額、一般経費等を基に平均原価率及び平均一般経費率を算定し、それに基づいて原告の売上金額及び一般経費を推計するもので、平均値を含めたその原価率及び経費率は、別表(二)、(三)のとおりであって、レコード等の販売に関しては平均原価率七六・二七、平均一般経費率八・九七、書籍雑誌の販売に関しては平均原価率八〇・五一、平均一般経費率五・五九であること。

(三) 比準同業者の抽出に当っては、前記の各税務署管内に事業所を有する原告と同様の個人事業者であって、かつ昭和五一年分の所得税について青色申告の承認を受け、同種の事業について昭和五一年分の売上原価額が原告のそれの倍半基準内にあり、昭和五一年中同種の事業を継続し、災害等により経営状態が異常であると認められる者ではなく、税務署長から更正又は決定処分がなされている者のうち、国税通則法又は行政事件訴訟法の規定による不服申立期間及び出訴期間の経過していない者並びに当該処分に対して不服申立てを行い、現在審理中の者又は訴訟係属中の者でないことを条件として漏れなく抽出し、その抽出数は、レコード等の販売関係が四件、書籍雑誌の販売関係が六件あったこと。

(四) 原告の昭和五一年度の雑収入金額は、レコード等の販売関係では別表(五)のとおり合計額二一万七、四八四円であり、書籍雑誌の販売関係では、日本雑誌販売株式会社から受けた割戻歩引等の合計額四六万一、一三一円で、その総合計額は六七万八、六一五円となること。

(五) 原告宅のうち店舗部分に係る昭和五一年分の減価償却費の額は、別表(四)の6のとおりであり、原告の妻静子、長女文子及び三女美代子は、いずれも原告と生計を一にし、かつ、原告の営む事業に専ら従事していること。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

4  右の認定事実によれば、平均原価率及び平均一般経費率を算定するに当っては、原告の住所地を所轄する銚子税務署及び近隣三署の各管内に事業所を有する原告と同様の個人事業者であって、かつ、青色申告の承認を受け、事業規模等が原告に類似し、特異性のない同業者を漏れなく抽出してその売上金額、一般経費等を基礎にしたというのであるから、その比準同業者の抽出基準には合理性があり、かつ抽出作業も普遍的で、被告の恣意が介在する余地がなく、その抽出数も比準同業者を平準化するに足るものということができ、右平均原価率及び平均一般経費率は、正確性と普遍性が担保されていると認められ、右認定の原告の売上原価を基礎としてこれに平均原価率、平均一般経費率をそれぞれ乗除して原告の昭和五一年分の売上金額及び一般経費額を推計することは、相当であるというべきであり、右の平均原価率、平均一般経費率に基づき原告の昭和五一年分の売上金額を算定すると、別表(九)のとおり合計六、〇八六万五、三〇八円で一般経費は合計三八四万六、九七一円となる。また、右の認定事実によれば、原告の妻静子、長女文子及び三女美代子は、いずれも所得税法第五七条第三項に定める事業専従者に該当することは明らかであるから、各自四〇万円宛合計一二〇万円が事業専従者控除額ということになる。

5  この点で、原告は、昭和五一年分の原告の所得金額は別表(八)のとおり金一九六万七、一六三円で、その内訳は、事実欄第二の六の2の(四)のとおりである旨主張するが、本件証拠中には、右主張を認めるに足る証拠はない。

6  因みに期首、期末のたな卸金額については、これに関する格別の資料もなく、また原告の昭和五一年分の事業状況がその前後と比べて格別変化があった事跡の認められない本件においては、同額と解するを相当とする。

7  そうだとすると、原告の昭和五一年分の所得金額は、別表(四)の9のとおり、七八四万一、二四五円ということになり、本件更正処分における原告の所得金額は、前認定のとおり右認定額の範囲内である金七二二万二、四〇六円となるから、本件更正処分はその算出過程に格別誤謬の存在を認める事跡のない本件においては適法であるといわなければならない。

三  本件賦課決定について

本件賦課決定は、適法な本件更正処分により納付すべき税額一二二万五、〇〇〇円に法定の一〇〇分の五の割合を乗じて計算した六万一、二〇〇円(一〇〇円未満切捨て)をもってその税額としているところであり、他に格別の瑕疵の存在の認められない本件においては、適法であるというべきである。

第四結論

よって原告の本訴請求のうち、総所得金額金一五〇万四、四二七円を超えない部分の更正処分の取消しを求める部分を不適法として却下することとし、その余は、いずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 篠原幾馬 裁判官 円井義弘 裁判官 小林春雄)

別表(一) 課税処分の経緯

<省略>

別表(二) レコード等小売比準同業者

<省略>

別表(三) 書籍雑誌小売比準同業者

<省略>

別表(四)

<省略>

別表(五)

<省略>

別表(六)

<省略>

別表(七)

<省略>

別表(八)

<省略>

別表(九)

一 売上金額 六、〇八六万五、三〇八円

1 レコード等の販売関係 一、三一五万三、八八六円

レコード等の売上原価一、〇〇三万二、四六九円を平均原価率で除した一、三一五万三、八八六円

2 書籍雑誌販売関係 四、七七一万一、四二二円

書籍雑誌の売上原価三、八四一万二、四六六円を平均原価率で除した四、七七一万一、四二二円

二 一般経費 三八四万六、九七一円

1 レコード等販売関係 一一七万九、九〇三円

レコード等の売上金額一、三一五万三、八八六円に平均一般経費率を乗じた一一七万九、九〇三円

2 書籍雑誌販売関係 二六六万七、〇六八円

書籍雑誌の売上金額四、七七一万一、四二二円に平均一般経費率を乗じた二六六万七、〇六八円

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